「うつ」から復帰への道すじ

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help リーダーに追加 RSS 休職してからの日々(3)

<<   作成日時 : 2005/11/12 01:50   >>

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メールのショックから1ヶ月ほどたった去年の8月明けごろ、ようやく症状が落ち着きを見せ始めました。
とりあえず「不幸感」はあまり感じなくなりました。
三大欲求の低下は相変わらずでしたが、これにはもう慣れてしまいました。

だんだん外出できるようになり、散歩に出かけるようになりました。
実際は歩いて近所の公園へ行ってもちっとも楽しくなかったのですが、陽の光を浴びるとセロトニンの分泌量が増えるという話を聞いたのと、休職してから体重が一気に5kgも減ってしまったため、体力をつけないとまずい、という義務感だけでしていました。

その代わり、楽しめるものも少しずつ出てきました。
漫画なら読めるようになってきました。
初めは押入れの奥から引っ張り出して片っ端から読んでいたのですが、それを読みつくしてしまうと、久方ぶりにどきどきしながら漫画喫茶に行き、その中にいても自分が平気なことがわかると、何時間も読みふけっていました。
PCではゲームをして時間をつぶすことも覚えました。
といってもスーファミのエミュレータですが。
スーパーロボット対戦なんかやってました。

しかし、それでもほとんどの時間は何もする気が起きない無気力な状態が続いており、PCの前で座ったまま、ひたすらそれを悲しんでいました。
この頃からタバコの量がかなり増えました。
休職直前から増え気味でしたが、それでも一日一箱弱だったのが、二箱以上いってしまう日もあるくらいでした。
ちょうどPCが窓際の机においてあったので、面白くもないネットサーフィンを機械的に行いながら、ただただタバコをくゆらせていました。
なにかしたいのになにもしたくない。
この状態はある意味、オーバーですが拷問に近いものがあります。
不幸感とはまた違ったつらさがありました。
一体これがいつまで続くんだろう?
とても今後回復するとは思えない。
普通の状態なんてもうとっくに忘れてしまった。
いつになったら、いつになったら、いつになったら・・・
狂おしいほどの焦りが心の中を渦巻いていました。

そんな中、なにか楽しめるものはないか、熱中できるものはないか、そればかりを考えるようになりました。
あれほど好きだったSF小説が読めない、と言うより小説自体が1ページも気力が続かない。
毎週のように行っていた釣りに行く気力がまったくわかない。億劫でしかない。
毎週欠かさず手入れをしていた熱帯魚水草水槽も、コケだらけ、水草ボウボウ状態。

そして、やっと思いついたのが、
「なにか動物が飼いたい。なつく動物を」

初めは猫を飼おうと思いました。
しかし、我が家はマンション住まいで、動物の飼育に関する規定はきちんと決まっていませんでした。
中にはすでに犬を飼ったりして既成事実を作っている部屋もありましたが、いざと言うときに「だめ」と言うことになった場合、ちょっとつらいことになるでしょう。
それに、これは個人的なイメージですが、猫はあくまでも自由に家を出入りしてほしいという思いがありました。
家の中だけで飼うのは、しかも僕が復職した場合、ほとんどの時間を孤独に過ごさせるのはかわいそうに思えました。

そして思いついたのが小鳥です。
小鳥は子供の頃から何羽となく飼っていました。
特に高校から大学時代にかけて飼っていたコザクラインコの可愛らしさは忘れられませんでした。
とある年の夏場、水が悪くなって☆になってしまった時は、あまりの悲しさにたっぷり1時間ほど茫然自失で座り込み、実家の庭に一番新しいハンカチに包んで埋めた時、もう二度とコザクラは買うまいと心に誓ったことも忘れてはいませんでした。
でも、やっぱり飼うならコザクラしかない。
きちんと馴れさせるには雛のうちから飼わなければならず、ある程度育つまではかなりの手間がかかることも十分承知していましたが、そうやって世話をすること自体が、この無気力にとらわれたつらい状況から抜け出す方法になるのではないかと思ったわけです。
そう思い始めると、いてもたってもいられなくなりました。

この僕のどこにそんな気力があったんだというくらい張り切って、まずは近所にあるペットショップを調べ、片っ端からスクーターで回ってみました。
しかし、ほしい雛はどこにもいません。
僕がほしかったのは「色変わり」と言われる、よく出回っているノーマルのコザクラとはちょっと違う色合いのもので、扱い数自体が少なかったのと、小鳥のブリーディングは一般的に機構の安定した春・秋に行われ、夏には雛は出回りにくいのが原因でした。
しかし、一度思い立って火がついてしまった僕は、秋まで待つことなどとてもできませんでした。

次の日、NTTのサイトから、車でいける距離の小鳥屋を検索し、EXCELにまとめて、片っ端から電話をかけまくりました。
つながらなかったのも含めて、全76件すべてに電話をかけ終わったのは、朝から初めて実に5時間後でした。
結局これでも見つけることはできず、いくつかのペットショップには入荷したら連絡をもらう約束を取り付けるだけで終わりました。

そしてその翌日、強烈な不幸感がやってきました。
それから数日寝込んでしまい、ほとんど休職直後の状態に戻ってしまいました。

数日後、まだ回復しきらぬままカウンセラーとの面談日となり、行ってその話をしたところ、「もともと気力がないのにそんな無茶をしたら寝込むのは当たり前じゃないですか」と怒られてしまいました。
「普通の行動じゃないですよ。ひょっとしたら躁転しているんじゃないですか? 次に通院するときに、先生とよく相談してみてください」とまで言われました。

言われたとおりに次の通院日、先生に話をすると、「躁転とは違いますよ。回復期にはよくあることなんです」と言ってとあるグラフを見せてくれました。
それは、「うつ病の回復曲線」と書かれたもので、いったん急降下して底まで行った線が、上下動を繰り返しながら徐々に上昇しているグラフでした。
「このように、回復期では気分が上下動を繰り返しながら、少しずつよくなっていきます。しかし、たまたま上昇しているように感じているときでも、基本的には心のエネルギーが不足している状態ですから、気分のまま行動すると、少ない気力を使い果たしてダウンしてしまいます。これからはそれを頭に入れて、気分が乗ってきても焦って行動しないようにしてくださいね」
という、とてもわかりやすい説明でした。
この先生は、どんなことを相談しても、まるでそれを予期していたかのように、こういうグラフや文献をささっと引っ張り出してきて、わかりやすく説明してくれるので、いつも助かっていました。
今回もそれに救われたわけです。
「うつが回復する過程の中で、今の貴方は停滞期を抜けて回復期にいますが、回復期が一番長くかかるんです。とにかくよくならないと言って焦らないようにしてください」
という言葉を最後にいただいてその日の診察は終わりました。

つづく

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